9月9日に開催された経済同友会での夏季セミナーにてサントリーの新浪社長が
45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ
と発言されたことで、2週間経った今でも賛否両論が収まらない様子があります。
色々な見方がありますが、個人的見解でこちらの問題に関してブログを書いて参ります。
そもそも定年について考えてみる!
まずは定年についておさらい。
定年・停年(ていねん, Retirement age)とは、企業や公務に勤める正規雇用者で、ある一定の年齢に達したら仕事を退職・退官する場合のその年齢のこと[2]。またそうした仕組みによって雇用関係が終了し、退職・退官すること(定年退職)。労働者が一定の年齢(定年年齢)に達すると自動的に雇用関係が終了する制度を「定年制」という。
ウィキペディア(Wikipedia)より引用
また同一国内であっても職種や法人によっても異なる。いったん定年になっても、継続雇用や再雇用される場合もある。
上記にもあるように、事前に設定された年齢に達したことにより退職することと読み取れます。
人口1億人総活躍や人生100年時代といった指針により高齢者活用の流れがあったり等で、定年の設定も60→65歳に上がったり、また70歳にもなんて話がありますが、行政等の公務員は60歳定年がまだまだ多いようですね。
片や、銀行には多いように感じますが、50歳で役職定年という制度もあります。50歳を迎えた労働者が、その時点で就いている役職を降りて後進の育成にあたったり、60歳の定年退職までの期間を、それまでの業務経験に沿った業務へ従事する制度です。
ここ数年で60歳または65歳の定年退職を迎える層は、大学なり高校を卒業してその年齢まで勤め上げた方が多いかと思います。卒業した年代では、この働き方が当たり前という価値観だったかと思います。
22歳頃に、40年先を見据えて就職活動をし長い期間働かれたわけですので、一旦の区切りとしての定年なのかなと思います。雇用契約が終了したとしても、ほとんどの企業では再雇用制度を導入しているでしょうから、人間関係さえ終了しなければ、受け持つミッションが変更されながらも、継続的に勤務はできるのかなと思います。
簡単にいえば、ひとつの区切り、といったところですね。
定年制がもつメリットとデメリット
定年制の良し悪しは別として、それぞれにメリットデメリットがありますので、挙げて参りましょう!
メリット1;労働者としての区切り
最長40数年間という長期間、様々なプレッシャーと闘いながら働いてこられたわけですから、気持ち的に楽になるのではないでしょうか。労働者側としては最大のメリットなのではないかと思います。
長年背負ってきた重責を降ろし、文字通りの「肩の荷が降りた」状態ですので、その後の人生の過ごし方も踏まえゆっくりと考えるちょうど良い期間だと思います(経験者談)
とはいっても、長年働いてきた経験をそのままにしても勿体ないと感じてしまい、次のキャリアへトライされる方も多いですね。それまでの業務経験の延長戦なのか、はたまた別分野へのトライなのか、、、いずれにせよ長年の経験が活かせるだろうと思います。
メリット2;企業側としての価値
「定年退職者を送り出せた!」という実績は、実は採用市場では気に掛かるポイントになります。
定年退職=長く働けると見られるからです。いくら雇用の流動化といって転職が活発であっても、求職者のほとんどは「長く働けるか?」を念頭に求人を探します。ですので、特に新卒では見られますが、長く働ける環境か否かを判断できるポイントとして、メリットは大きいのではないでしょうか。
もちろん、定年の時点で雇用契約が終了しますが、その後も再雇用制度で就労していただくことも可能です。定年まで第一線で働かれていたとなれば、お給料もそこそこ高いでしょう。再雇用での就労では、第一線で活躍する若手中堅に長年の経験で培った技術を教える業務をメインに据えることで、人件費を抑えることも可能ですね。
企業側としての定年制のメリットはここにあるといえます。
デメリット1;無気力になってしまう
労働者としては区切りとなる定年ですが、準備をしておかないと、実は大きな落とし穴に落ちてしまうそうです。
それまでガムシャラに頑張ってきたお仕事が途端になくなるわけですから、「何をしていいかわからない」といったことになります。趣味を持っていなければ、毎日の過ごし方すらわからなくなってしまい、自己肯定感が急降下してしまうことがあります。
最近ですと、50歳を超えてからのキャリア形成が叫ばれており、それにもうなづけます。
50歳を過ぎた方からの相談内容でまさにこのテーマが一番多く、目の前の仕事だけに取り組まれてこられたが故の悩みなのかなと思われます。
デメリット2;雇用情勢の影響
定年までの勤務を人件費の観点でみると、とてつもない金額になることは簡単に予測できます。
とはいっても、そこまで働かれるわけですから、仕事レベルに見合った人件費だとは思いますが、終身雇用制度の崩壊が始まっている今の日本の労働環境では、定年まで就労していただくことは大きな負荷になります。
現在の日本の法律では、「辞めてください」ですぐ辞めさせることがほぼほぼ出来ません。会社が倒産したり労働者側の著しい就業規則違反等でなければ即日解雇はできませんし、解雇制度を利用しての解雇ですと企業側にも様々な制限が課せられてしまいます。
企業の経費の中で人件費は大きな割合を占めていますので、人件費が高くなりがちなミドルシニア層は大きな負担だったりします。希望退職者を募るニュースでは、45歳以上とか条件がついているのも、そのためですよね。
45歳定年制からみる働き方
さて、定年制度の概要やメリット・デメリットを書いてまいりましたが、定年というマイルストーンは労働者であれば誰にでも訪れます。やがてくる定年に準備してゆくのがよいのではないでしょうか。
仮に、45歳定年制が導入されたとして、どんな働き方になるか予想してみましょう!
予想1;45歳を区切りに独立
このパターンは非常に増えそうですね。法人or個人事業は別として、それまでの業務経験を活かした事業展開等で世の中に新しいサービスを送り出す、、、できるかな?
企業としての新陳代謝は加速しそうですが、人員の補充が追いつかずに外注として携わることが増えそうな・・・そんな予感がします。タニタや電通で導入された従業員の個人事業主化が加速しそうですね。企業としては社会保険の負担が無くなるので、経費的には確実に楽になりますね。
予想2;45歳を境に貧困差の拡大
45歳までにキャリアを積んで独立し外注として携われる方ばかりではないでしょう。それこそ心身共に弱ってリハビリしながらの方もいると思われます。
45歳で会社から放り出されて再雇用が叶わなければ、収入を得る手段がありませんので、貧困に陥ってしまいます(救済措置が発動されるとは思いますが)
そうなったら、生活保護等の社会保障費が上がり結果、税金も上がる。なかなかの負のスパイラルが待ってますね。それは30代でも同じことが言えそうですが、45歳で強制的に放り出される定年であれば、起こりうる未来かと思います。
予想3;雇用の流動化が加速する
一番現実的な見方ですが、45歳であればそこそこの良いポジションであると思われます。それであれば競合他社からの引き抜きが容易に考えられます。しかも、45歳の定年で雇用契約が終了しますので、どこの企業へ転職しようが自由になります。(NDAを締結することも考えられますが・・・)
転職市場も「45歳○●業界で△▲の経験あり」で非常にわかりやすくなり、「ちょうどそのポジションの人が欲しかったんだよ〜」なんて企業さんとのマッチングも進み、そこそこの年齢で経験を持つ方が外部からくるわけですから、既存の若手には良い刺激になり、「自分も定年になったらあんな風に他の企業に迎えられた〜い」なんてロールモデルになるでしょう。
うまくいった場合ですが・・・
人事制度も俗人的なものから、スキル的な観点での制度設計になり、転職という行動がよりポジティブな見方になる、、、そんな未来が予想できます。
あくまで、うまくいったらの話ですが。
さいごに
実は、ワタクシが過去に働いていた企業では、定年は一応60歳でしたが、40歳で辞めてしまう会社あありました。ワタクシが勤めていた当時では定年退職者が0という驚異的な数字で、5年くらい前に初めての定年退職者がでたと、聞いた覚えがあります。
冒頭の45歳定年制の趣旨も、発言の後に補足されていましたが、45歳を軸に自分のキャリアを見つめる意識を醸成することが、今の時代はとても重要なのだと思います。
法律上60歳未満に定年を設定できないとしても、不確実な現代社会においてはいつ会社が無くなるかもしれません。それであれば、いつ会社が無くなっても良いように自分のキャリアを見つめ、いついかなる事態が起きても自分の身の振り方だけは迷わずに進めるようにしておく必要があるでしょう。
ちなみにワタクシは32歳で会社員生活に終止符を打ちましたので、45歳定年でも、全然職務を全うしておりませんでした!!
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